前回に続き1997年1月号についての話しである。前回は記事の内容には全然触れず、広告に掲載されていたシンセについて話して終わってしまった。まあ、広告こそその時々の背景を一番表していると思うのでこれからもどんどん取り上げていく予定である。
では今回は記事の一部を紹介していこう。

■LINDBERG LIVE

リンドバーグは90年代に活躍した女性Voロックバンド、現在30代後半の方なら一度は曲を聞いたことがあるだろう。この記事は1996年11月13日の日本武道館でのライブレポートだ。同年9月に9枚目のアルバム「LINDBERG Ⅸ」リリース後のツアーライブの中盤とのことである。
記事後半にはサポートキーボードの佐藤達也氏のセットアップについて特集されている。

システムレポート

セッティングは鍵盤がステージ上手と正面とにL字セティングにされており、背後にラックシステムが設置されている。使用した鍵盤は上手にYAMAHAのDX7Ⅱ、DX7、KORG WAVESTATIONの3台、正面にハモンドXB2、ROLAND RD-500の2台となっている。

DXシリーズはどちらも1997年時点で最新の機種というわけではないが、1980年代に発売された初代から40年近く経った今でも現役で使用されている、支持の高いシンセである。記事を読むとDX7ⅡはラックにセットされたAKAI S1000(サンプラー)にMIDI接続されパッド系、ストリングス系の音色を出すためのマスターキーボードとして使用されているようである。詳しいセットアップは明記されていないが、ラックにはS1000以外にもROLAND D-550やE-MU VintageKeysなどがセッティングされているので、レイヤーで使用しているとおもわれる。
余談だが、97年当時はシンセ単体では音色エディットの自由度が低く、いつくかの音源をレイヤーして1音色を作ることが多かった。エディットの自由度といっても、変えられるパラメーターが少ないとかではなく、使える波形が圧倒的に少なかった。当時のデジタルシンセは内蔵されているPCM波形の種類が7~80から多くて100強種類、なおかつその中でもプレイヤーの好みに合う波形はごくごく一部で、シンセ1台では自分の思い描くオリジナルティーのある音色を作成するのに限界があった。そのため必然的にいくつかのシンセやラック音源を組み合わせる必要があった。

正面の2台はオルガンサウンドとピアノサウンドを単体で出している。ロックには何はなくともな王道セッティングである。ハモンドXB2は記憶では鈴木楽器に経営譲渡してから初の電子オルガンだったかとおもう。ROLAND RD-500は、一時期はスタジオやライブハウスでピアノのレンタルと言ったら必ずこれが出てくる、、、と言っていいほどどこにでも置いてあった。

記事内で佐藤達也氏はMIDIケーブルを使わず1音色1台で済まそうセットだと言っている。シンセサウンドのシステムに関してはレイヤー音色を前提としているので仕方ないとして、ピアノ・オルガンはまさに1音色1台で済ませているようだ。KORG WAVESTATIONに関しては特に触れていなかったが、当時のシンセの中ではとても特徴的な音を出す機種だったので、単体で使われていたのかもしれない。


前回触れたように、この号が初めて買ったシンセ専門誌、その中でもページの前半にあったこのLINDBERGのLIVE記事はプロの機材セッティング解説を初めてみた記事でもある。そのぶんとても印象に残っている。

というわけで、1つの記事しか取り上げられなかったが今回はここまで。
また次回。

1997年1月号 No.144
平成9年1月15日発刊
【表紙】
木根尚登
【裏表紙】
YAMAHA EOS B900EX
【特集】
97年、注目のミュージシャンたち
【ライブ&インタビュー】
・塩谷哲&佐藤竹善
・リンドバーグ
・ハイポジ
・スターダスト・レビュー
・キャグネット
【1st KB】
トモフスキー
【スコア】
相川七瀬「恋心」
シャ乱Q「NICE BOY!」
パフィー「これが私の生きる道」
【新製品ニュース】
・タスカム DIGITAL PORTASOUND 564
・ヤマハ B900EX
・ヤマハ MU90
・コルグ N264/N364