この号は私が初めて買ったKBスペシャルである。
当時同級生と組んでいたTM NETWORKのコピーバンドでヴォーカルをやっていたが、友人の弾くシンセサイザーに興味を持ち始め勉強がてらに手にとった雑誌がこれである。
TM NETWORK(以下TMN)は1983年~1994年に活動していた小室哲哉(Key)、宇都宮隆(Vo)、木根尚登(Gt)の3人組ユニットである。もちろん、シンセサイザーについてググってこのサイトに辿り着いた人にとっては説明の必要もないかもしれない。
では、いくつかこの号の内容を紹介していこう。

■裏表紙~EOS B900EX~

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記事の内容かと思いきや、いきなり裏表紙である。
先程も名前が出た小室哲哉氏がどどんと鎮座する裏表紙はシンセの広告で、1996年に発売された「EOS B900EX」小室哲哉プロデュースによるYAMAHAのシンセサイザーである。
このシンセは前年1995年に発売された「EOS B900」をマイナーチェンジした拡張版である。前身の「EOS B900」は周りでも3名ほど所有している人がいたが、歴代のEOSシリーズの中でも機能・デザイン共に完成形だなと感じていた。が、1年後のマイナーチェンジでこのEXが発表された際はそのカラーリングに眉が歪んだ。
私の印象ではシルバーからダークブルーに変更されたカラーリングは店頭で実物を見た際には特にプラスチックパーツ部分がチープに感じてしまった。今でこそ様々なカラーのシンセが発売されているが、それまではシンセといえば黒い箱な時期が続いていて、シルバーのEOSは品があってカッコいいなと感じていた。それをわざわざダークブルーにするなんて、しかもカラーの選定は小室哲哉氏によるものだなんて、、、小室プロデュースもいかがなものか。などと思っていた。
だが、しかし、今あらためて見るとなかなか渋くてカッコいいのである。そう、この渋さに気がつけなかった私の感性こそ青かったのである。ブルーなだけに。事実、その後YAMAHAのフラッグシップモデルとなるEXシリーズも色合いに違いはあるがダークブルーのボディーカラーを採用している。後々には類似のダークブルーカラーのシンセは各社から発売されるが、私の中ではこの「EOS B900EX」がパイオニアになったのではないかと思っている。
(もっとも、ROLANDのSHシリーズのようにカラーバリエーションの設定されているシンセは昔から存在はしていましたがね)

■JP-8000の広告

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いよいよ記事の内容と思いきや、お次も広告である。
この雑誌を買って、表紙をめくったとたんに目に入ったこのJP-8000。なんだこのシンセサイザーは?!っと、度肝を抜かれた。なにしろこの時期はPCMシンセの過度期に差し掛かった頃。上位機種の廉価版が横行しお小遣いを貯めれば手に届く価格帯(と言っても2019年の今ほどではないが)のシンセが店頭に並び始めた一方で、価格を抑えるためパネルからボタンが減り、ディスプレイも小さくなり、なんとも味気ない黒い箱のシンセが増えていた。そんな認識の中でこのボタンだらけ、ツマミだらけ、スライダーだらけのシンセである。
1995年に有名な赤いシンセが発売されて以来、ヴァーチャルアナログシンセ(以下VAシンセ)が注目を集め始める。国内では本格的なVAシンセの第1号機がこのJP-8000ではないだろうか?それまでもDCO音源シンセや物理モデル音源搭載のシンセはあったが、アナログシンセを丸々デジタルで再現したVAシンセは無かったと記憶している。ツマミやスライダーがついていることがVAシンセなのではない、ツマミやスライダーに着目するならROLANDのJD-800が頭に浮かぶが、JD-800はあくまでも各パロメーターにアクセスできるスライダーのついたPCM音源シンセなのである。対してJP-8000は音源がノコギリ波や矩形波などの単純波形を元としており、各種パラメーターで音作りをする完全にアナログシンセを模したVAシンセなのである。
さて話はもどって、この広告を見たとき整然と並んだツマミやスライダーになんてかっこいいシンセなんだろうか、もうこんなツマミ回すしかないでしょ!全部回すしかないでしょ!と思ったものだ。事実このシンセ以降だいぶ各パラメーターにアクセシブルなシンセが増えたような気がする。あの赤いシンセと並んでその後のシンセ業界に多大な影響を与えたのは間違えないであろう。


というわけで、記事の内容では無く広告だけで終わってしまったが今回はここまで。
また次回。

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1997年1月号 No.144
平成9年1月15日発刊
【表紙】
木根尚登
【裏表紙】
YAMAHA EOS B900EX
【特集】
97年、注目のミュージシャンたち
【ライブ&インタビュー】
・塩谷哲&佐藤竹善
・リンドバーグ
・ハイポジ
・スターダスト・レビュー
・キャグネット
【1st KB】
トモフスキー
【スコア】
相川七瀬「恋心」
シャ乱Q「NICE BOY!」
パフィー「これが私の生きる道」
【新製品ニュース】
・タスカム DIGITAL PORTASOUND 564
・ヤマハ B900EX
・ヤマハ MU90
・コルグ N264/N364